LLMO/AIO
AI検索対策、何から始める?診断・設計・実行の進め方

AI検索対策という言葉自体は急速に広まりましたが、「具体的にどう進めるか」という型はまだ発展途上でもあります。
構造化データの実装、FAQページの追加、記事の量産。どれも間違った施策ではありませんが、自社が今どこでつまずいているかを診断しないまま実行に飛びつくと、労力に見合った効果が出ないまま終わってしまうケースも見てきました。
LLMO/AIOとは?で解説した通りAI検索対策には複数のレイヤーがあり、企業サイトが見直すべき4つのポイントで個別の施策も紹介してきました。本記事では、それらの施策を「どの順番で、どう進めるか」という全体プロセスとして整理します。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。
目次
診断・設計・実行の全体像
AI検索対策は、診断→設計→実行の3ステップで進めます。診断で現在地を把握し、設計でその結果を優先順位に落とし、実行して効果を計測したら、また診断に戻る。このサイクルを回し続けることが対策の実態です。
3つのステップは、期間の目安や成果物がそれぞれ異なります。
フェーズ | 主な内容 | 期間の目安 | 成果物 |
|---|---|---|---|
①診断 | AI上での自社の見え方・技術基盤の確認 | 数日〜1週間 | 現状把握レポート |
②設計 | 診断結果の優先順位付け・実行計画の作成 | 数日 | 施策ロードマップ |
③実行 | 施策の実施・効果の計測 | 施策により数週間〜 | 実施結果・計測データ |
一度実行して終わりではなく、実行フェーズの計測結果をもとに診断フェーズへ戻り、精度を上げながら繰り返すサイクルとして捉えることが重要です。

①診断:自社の現在地を把握する
診断でまず確認すべきは、AI上での自社の露出状況と、それを妨げている技術的な要因の2点です。
AI上での露出状況を数値で把握する
複数の主要なAIプラットフォーム(ChatGPT、Gemini、AI Overviewsなど)で自社の商材カテゴリを質問し、自社名がメンション・引用されるかを見ることから始めます。このとき、感覚的に「出た・出なかった」で終わらせず、次の4つを数値として記録すると、後の設計フェーズで優先順位をつけやすくなります。
プラットフォーム別のメンション数(言及された回数)
プラットフォーム別の引用数(自社URLがリンク付きで参照された回数)
競合ブランドとの相対的な露出量の差
想定される質問(プロンプト)ごとの推薦順位(1位/2〜3位/圏外)
弊社の支援では、この数値化にAhrefs Brand Radarやawoo GEO Suiteのようなツールを用いて、プラットフォーム×ブランドのクロス集計を毎月計測しています。個人・自社での診断であれば、まずは主要な質問パターン20〜30個をリスト化し、複数プラットフォームで手動確認するところから始めても構いません。
診断の中でも特に見落とされがちなのが、「AIの回答で1位に推薦されているのに、引用元のURLは自社ではなく第三者の比較サイトになっている」という状態です。推薦はされているが引用の土台を自社が握れていない、というギャップは、施策の優先順位を大きく左右する重要な発見になります。
技術的な要因を確認する
企業サイトが見直すべき4つのポイントで紹介した通り、AIクローラーの許可状況、構造化データの実装状況を中心に見ます。診断の粒度を上げるには、次の項目までページを実際に開いて確認することをおすすめします。
robots.txtでのAIクローラーのブロック有無、サイトマップの記載有無
XMLサイトマップに知識系コンテンツ(コラム・FAQ・用語集)が含まれているか
ページ種別ごとの構造化データの実装状況(トップページのOrganization、サービスページのFAQPage、記事ページのBlogPosting・著者情報など)
主要ページがサーバーサイドレンダリング(SSR)されているか。JavaScriptで動的に描画される部分に重要な情報が入っていないか
多くのAIクローラーはJavaScriptを実行しないため、CSR(クライアントサイドレンダリング)中心のサイトでは、ブラウザ上には表示されている情報がAIからは見えていない、という状態が起こり得ます。特にSPA構成のサイトやJSフレームワークで構築されたサイトでは、この点を優先的に確認してください。
診断の結果は、次のような形で整理しておくと後続の設計フェーズにそのまま活かせます。
自社名がメンション・引用されているか(プラットフォーム別・数値付き)
引用されている場合、どのページが情報源になっているか。第三者サイトに引用を奪われていないか
AIクローラーを拒否していないか
構造化データがどこまで、どのページ種別まで実装されているか
主要ページがSSRされているか、重要な情報がJavaScript描画に依存していないか
競合と比較して露出量・語られ方に差があるか
ここまでの項目を自社だけで一つずつ確認していくことも可能ですが、複数プラットフォーム×複数プロンプトでの継続的な計測や、競合との定量比較まで行うには相応の工数がかかります。手早く現在地を把握したい場合は、無料診断から始めるのも一つの方法です。


②設計:診断結果を優先順位とロードマップに落とす
設計フェーズでは、診断で見つかった課題に優先順位をつけ、いつ・何をやるかのロードマップに落とし込みます。
施策を「守り」と「攻め」に分ける
優先順位づけの第一歩は、施策を「守り」と「攻め」の2種類に分けることです。
守り:既に評価されている強みの土台を固める施策。1位で推薦されているのに自社URLが引用されていない場合は自社URLを引用元にする、特定の1ページだけに引用が集中しているリスクを分散する、といった対応が中心です
攻め:まだ評価されていない領域を新たに獲りにいく施策。診断で見つかった「AIに評価されていない質問パターン」に対応するコンテンツを新設・拡充します
一般的に、守りの施策は既存ページの修正で完結するため対応難易度が低く、攻めの施策は新規コンテンツの制作を伴うため難易度が上がる傾向があります。まず守りを固めてから攻めに着手する順序が、限られたリソースの中では現実的です。
着手するページ・施策の選定基準
対応難易度と効果が出るまでの期間の2軸で考えると整理しやすくなります(具体的な難易度・期間の一覧は「AI検索時代、企業サイトはどう変わるべきか?」の比較表を参照してください)。加えて、複数の改善候補から絞り込む際は、次の3基準で判断すると選定理由を説明しやすくなります。
診断で見つかった「評価されていない質問パターン」に直結しているか
既存のコンテンツ・データを活用でき、ゼロから作らずに済むか
AIが重視している評価軸(多くの回答で共通して言及される観点)に対応する内容を含められるか
このとき、すべての課題に同時着手しようとしないことが重要です。設計フェーズの役割は「今回どこまでやるか」を決めることであり、着手しない項目を意図的に後回しにする判断も含まれます。初回のロードマップでは、対象ページを3件前後に絞る方が、後から見て何にどれだけ効果があったかを判断しやすくなります。ロードマップには、各施策の担当者、着手時期、完了の目安、効果測定のタイミングまで含めておくと、後続の実行フェーズがスムーズに進みます。

③実行:施策を実施し、効果を計測する
実行フェーズでは、ロードマップに沿って施策を実施し、実施後は必ず効果を計測します。
コンテンツを改修する際に意識すべき観点
構造化データやFAQの追加といった技術的な施策に加え、ページの文章そのものを改修する際は、次の観点を意識すると、AIに参照されやすいコンテンツに近づきます。
結論を先に書く:AIはページ冒頭を「このページの主題」として解釈しやすいため、結論→理由→事例の順で書く
曖昧な表現を減らす:「〜かもしれない」「状況によって異なる」ではなく、条件と結論をセットにした断定的な書き方にする
問いと答えの単位を作る:想定される質問(プロンプト)をQ、回答をAとして捉え、FAQのような構造でページ内に配置する
想定質問と同じ語彙を使う:読者が実際に検索・質問する際に使う言葉や、関連する話題のキーワードを、不自然にならない範囲で本文に含める
鮮度を保つ:最終更新日を明示し、市況や制度など変化の速い情報は定期的に更新する
3ヶ月を目安にしたスケジュールの組み方
実行フェーズは一度に全部をやろうとせず、月単位で段階を分けると進めやすくなります。目安は次の通りです。
期間 | 主な内容 |
|---|---|
1ヶ月目 | 技術的な土台整備(クローラー許可、サイトマップ、構造化データの修正)+優先度の高い数ページの改修着手 |
2ヶ月目 | 残りのページの改修、コンテンツの拡充、1ヶ月目の効果検証 |
3ヶ月目 | 新規コンテンツの着手、四半期の振り返り |
新規コンテンツより既存ページの改修を優先するのがポイントです。新規コンテンツは効果が出るまでに時間がかかるため、3ヶ月という短い期間では「着手した」段階で終わりやすく、既存ページの改修の方が早く変化を確認できます。
効果測定の考え方
計測の際は、従来の検索順位・流入数だけでなく、AI上での露出(メンション・引用のされ方)も合わせて確認してください。AI検索の分野は業界標準の指標がまだ確立されていないため、最初から目標値を決めるのではなく、まず1ヶ月目の数値をベースラインとして記録し、2ヶ月目以降にどの程度動くかを見ながら、現実的な目標を設定していくアプローチが実務的です。「施策を実行した数」のような行動面の指標と、「メンション数・引用数の変化」のような成果面の指標を分けて記録しておくと、進捗と結果の両方を追いやすくなります。
施策を実施したら終わりにするのではなく、一定期間後に再度診断のステップに戻り、変化が起きているかを確認する。この一巡がAI検索対策の基本サイクルです。一度の実行で劇的な変化が出るとは限りません。技術的な土台の整備とコンテンツの拡充を段階的に積み重ねることで、AI上での見え方は着実に改善していくものだと捉えておくと、途中で成果が見えないことに焦らずに済みます。

「施策から始めてしまう」という誤解
最も陥りやすい誤解は、診断を飛ばして「とりあえず効果がありそうな施策」から着手してしまうことです。
構造化データの実装やFAQページの追加は、どの企業にも一定の効果が見込める施策ですが、自社の課題がそもそも技術的なクロール阻害にある場合、コンテンツ側の施策をいくら積み重ねても効果は限定的です。逆に、技術的な土台は既に整っている企業が、構造化データの実装から着手しても、伸びしろの小さい部分に工数を使うことになります。
診断にかかる時間は数日〜1週間程度であるのに対し、効率の悪い施策に数週間を費やすリスクの方が大きくなります。
よくある質問
Q. 診断は自社だけでもできますか?
A. 可能です。複数のAIプラットフォームで自社名を検索する、robots.txtやリッチリザルトテストツールで技術要件を確認するといった基本的な診断は、専門知識がなくても実施できます。より詳細な競合比較や、AI上での露出を継続的に定点観測する仕組みが必要な場合は、無料診断のような外部の支援や専門的なツールを検討する段階になります。
Q. 診断から実行まで、どのくらいの期間を見ておけばよいですか?
A. 診断に数日〜1週間、設計に数日、実行は施策の内容によって数週間から数ヶ月と幅があります。全体としては、最初のサイクルを一巡させるまでに1〜2ヶ月程度を見ておくと無理のない計画になります。
Q. 診断の結果、特に大きな課題が見つからなかった場合はどうすればよいですか?
A. 技術的な土台に問題がなければ、コンテンツ面の強化(一次情報の掲載、単体で意味が通る文章構成など)に軸足を移してください。大きな課題がないことも診断の重要な成果であり、次に何を優先すべきかの判断材料になります。
まとめ
AI検索対策は、診断→設計→実行のサイクルで進めます。診断で自社の現在地(AI上での露出状況と技術的な要因)を把握し、設計で優先順位とロードマップに落とし込み、実行して効果を計測したら、また診断に戻る。この順序を守ることが、施策から始めてしまい効果が出ないまま終わる事態を避ける最も確実な方法です。まずは診断から始めてください。
出典・参考
株式会社Coguru「LLMO/AIO市場調査レポート 2026」(2026年6月実施、デジタルマーケティング施策に関与し直近1年でSEO関連予算を投下した事業者345名対象)→ 調査レポートの全文はこちらから無料ダウンロードできます
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【著者プロフィール】 氏名:前田立樹 / 株式会社Coguru LLMO/AIOコンサルタント
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