LLMO/AIO

LLMO/AIO市場は本当に立ち上がっているのか?345名調査から見る投資実態

「LLMO/AIOへの投資が進んでいる」という言説は、業界内でよく耳にします。ただ、この手の言説は当事者に近いほど過大に語られやすいという傾向があるものです。そこで、その言説自体を検証してみることにしました。弊社Coguruが2026年6月に実施した「LLMO/AIO市場調査」(デジタルマーケティング施策に関与する事業者345名対象、以下「Coguru調査」)のデータから、投資の実態を確認します。

本記事は、この調査結果を深掘りする連載の第1回です。今回は投資額・投資意向・施策の取り組み状況という「お金と行動」の実態に絞って扱い、認知度やSEOとの関係性といった別の切り口は、次回以降の記事で取り上げます。LLMO/AIOの基本的な用語や、SEOとの違いについては「LLMO/AIOとは?SEOとの違いをマーケター向けにわかりやすく解説」で解説しています。

※本記事は2026年7月公開のCoguru調査データに基づいています。

目次

この調査はどこまで信頼できるのか

この調査は、意思決定者・関与者が86.9%を占める、施策の実態に近い回答者層から得られたデータです。

調査は、デジタルマーケティング施策に関与し、直近1年でSEO関連予算を投下した事業者345名を対象に実施しました。パネル配信3,881名からスクリーニングを重ね、職種条件を通過した757名、関与度条件を通過した607名を経て、最終的に345名が回答しています。回答者の職種構成は、意思決定者が42.0%、関与者が44.9%で、合計86.9%が施策の意思決定または実務に関わる立場です。

企業規模は年商50億円以上が64.1%を占め、業種はEC/D2C、小売、BtoB製造業が上位に並ぶ構成です。つまりこの調査は、実際に予算を持ち、判断に関わる立場の人が回答している調査だと言えます。

投資実態:8割が既に投資し、半数近くが本格投資層

Coguru調査では、79.4%の企業がすでにLLMO/AIOへの投資を開始しており、そのうち45.5%は年間100万円以上を投じる本格投資層です。

年間投資額の内訳を見ると、未投資は21.7%にとどまり、最多は「50〜100万円未満」の24.6%です。100万円以上を投じている層を合計すると45.5%に達し、単なるお試し予算ではなく、本格的な投資として位置づけている企業が半数近くを占めていることが分かります。この数字だけを見れば、「市場は立ち上がっているのか」という問いへの答えは、明確にイエスです。


「増やしたい」と「使える額」の間にあるギャップ

投資意向は43.5%が増額と回答している一方、月額の適正予算感としては30〜100万円未満を挙げる企業が43.8%と最多で、実際の投資規模には慎重さも見られます。

今後1年の投資意向を見ると、「大幅に増やす」「やや増やす」を合わせた増額傾向は43.5%です。「現状維持」の31.3%を含めると、投資を継続する層は74.8%にのぼり、「減らす」はわずか8.4%にとどまります。数字だけを見ると、市場は明確な拡大局面にあるように読めます。

ただし、同じ調査の中で「LLMO/AIOに月額いくらまでなら投資できると考えるか」を尋ねた設問では、「30万〜100万円未満」と答えた企業が43.8%と最多です。100万円以上を許容する層も27.0%存在するものの、多数派は依然として月額100万円未満という水準に線を引いています。

「増やしたい」という意向と、「これくらいなら出せる」という感覚の間には、まだ距離があるように見えます。投資を増やす意欲はあっても、それが青天井の拡大につながっているわけではなく、多くの企業が慎重に予算感を探っている段階だと捉える方が実態に近いでしょう。


企業規模で見える投資フェーズの違い

投資額・投資意向を企業規模別に見ると、規模が大きいほど投資が本格化しており、大手企業では高額投資と増額意向の両方が顕著です。

Coguru調査では、年商規模を中堅(5億〜50億円)・中大手(50億〜500億円)・大手(500億円〜)の3層に分けてクロス集計しています。

年間投資額

中堅(n=124)

中大手(n=126)

大手(n=95)

未投資

20.2%

20.6%

21.1%

50万円未満

20.2%

4.8%

1.1%

50〜300万円

46.8%

53.2%

36.8%

300〜1,000万円

12.1%

17.5%

22.1%

1,000万円以上

0.8%

4.0%

18.9%

未投資の割合はどの規模でも20%程度でほぼ変わりません。違いが出るのは高額投資層で、1,000万円以上の投資を行っている企業は中堅で0.8%にとどまるのに対し、大手では18.9%に達しています。「投資を始めるかどうか」は企業規模にほとんど関係なく、「投資をどこまで本格化させるか」で規模による差が生まれている、という構図です。

今後の投資意向にも同じ傾向が表れています。大手企業では「大幅に増やす」15.8%、「やや増やす」40.0%を合わせた増額意向が55.8%に達し、中堅(33.9%)を大きく上回ります。前章で見た「月額30〜100万円が多数派」という慎重さは、主に中堅・中大手企業の感覚を反映したものであり、大手企業はすでにその水準を超えて動いている可能性があります。


お金は動いているのに、施策の多くが「検討中」で止まっている

投資額のデータとは対照的に、具体的な7つの施策の取り組み状況を見ると、いずれの施策も「検討中」が最多で、実行段階に進んでいる企業はまだ少数です。

Coguru調査では、構造化データの整備やFAQコンテンツの拡充など、7つの代表的な施策について取り組み状況を尋ねています。結果は、情報整備・可視化系の施策から着手が進む一方、FAQ拡充は未着手率が最も高く、7施策すべてで最も多い回答は「検討中」でした。

これは、前章までで見た「予算は確保している」という状態と、「その予算で何を実行しているか」という状態が必ずしも一致していないことを示しています。投資額の数字だけを見ると市場は本格化しているように見えますが、実行フェーズまで進んでいる施策はまだ限られており、多くの企業が「予算はついたが、何から手をつけるか検討している」段階にとどまっている可能性があります。

これらの数字が意味すること

予算は本格化しているが実行は追いついておらず、規模の大きい企業ほど両方が先行している。これが投資実態から見える市場の現在地です。

3つの数字を重ねると、市場の姿がはっきりします。1つ目は、79.4%という高い投資率と45.5%という本格投資層の存在です。市場は「これから立ち上がる」段階ではなく、「すでに立ち上がっている」段階にあります。2つ目は、投資意向と予算感の間にあるギャップです。増額意向は43.5%に達する一方、月額の適正水準としては30〜100万円という控えめな感覚が多数派であり、拡大は慎重に進んでいます。3つ目は、投資額と実行状況のギャップです。予算は確保されていても、具体的な施策の多くが「検討中」で止まっており、実行段階まで進んでいる企業はまだ少数派です。

これらを踏まえると、今の市場は「投資するかどうか」を問う段階をすでに過ぎており、「確保した予算をどう実行に移すか」が課題になっている段階だと言えます。予算があること自体は競合との差別化にならず、その予算をどれだけ具体的な施策の実行に転換できているかが、今後の差を生む要因になりそうです。

よくある質問

Q. LLMO/AIOにはどのくらいの企業が投資していますか?

A. Coguru調査(2026年、事業者345名対象)によると、79.4%の企業がすでにLLMO/AIOへの投資を開始しています。そのうち45.5%は年間100万円以上を投じる本格投資層です。

Q. LLMO/AIOの投資額の相場はどのくらいですか?

A. Coguru調査では、年間投資額の最多回答は「50〜100万円未満」(24.6%)です。月額の適正予算感としては「30万〜100万円未満」を挙げる企業が43.8%と最多で、100万円以上を許容する企業も27.0%存在します。

Q. AI検索最適化の対策で、企業が最も取り組んでいるものは何ですか?

A. Coguru調査では、構造化データ(Schema.org)の実装・最適化が実施中29.3%で最も高く、7施策中トップです。一方、FAQ/ナレッジ系コンテンツの拡充は実施中19.7%・未着手28.1%で、最も手つかずになりやすい施策です。

まとめ

Coguru調査のデータからは、LLMO/AIO市場が「これから立ち上がる」段階ではなく、すでに79.4%が投資を開始し、45.5%が本格投資層に達している段階にあることが分かりました。一方で、投資意向と実際の予算感覚の間にはギャップがあり、7つの代表的な施策もいずれが「検討中」にとどまるなど、予算と実行の間にも距離が見られます。企業規模による投資フェーズの違いも明確で、大手企業が投資額・実行の両面で先行しています。次回以降の記事では、この調査データをさらに深掘りし、認知度の実態、投資の障壁、SEOとの関係性の実務的な整理などを解説していきます。

出典・参考

【著者プロフィール】 氏名:前田立樹 / 株式会社Coguru LLMO/AIOコンサルタント

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