株式会社Coguru
LLMO/AIO

認知は広がるが、実務理解は浅い?LLMO/AIO理解度64.3%の内訳を読む

前田立樹/取締役/ASO・SEO・LLMO/AIOコンサルタント

この記事のポイント

  • 「LLMO/AIOを理解している」64.3%のうち、内容をよく理解している層は13.9%にとどまる
  • 理解の自己申告は、用語の認知率や施策の認知度と照らすと過大に出ている可能性がある
  • 最大の障壁「社内に知見を持つ人材がいない」40.6%は、理解の浅さの言い換えでもある

LLMO/AIO(生成AI検索での露出最適化)を理解している事業者は64.3%に達します。ただし内訳を開くと、「内容をよく理解している」は13.9%で、残りは「概要は知っている」層です。私はこの64.3%を、市場の成熟度ではなく、言葉が広まった度合いを示す数字だと受け取っています。

弊社Coguruが2026年6月に実施した「LLMO/AIO市場調査」(デジタルマーケティング施策に関与する事業者345名対象、以下「Coguru調査」)から、認知と理解の実態を読み解きます。回答者は直近1年でSEO関連予算を投下した事業者で、施策の意思決定者・関与者が86.9%を占めます。

本記事は、この調査結果を深掘りする連載の第2回です。投資額や施策の取り組み状況は「LLMO/AIO市場は本当に立ち上がっているのか?345名調査から見る投資実態」で扱いました。用語やSEOとの違いは「LLMO/AIOとは?SEOとの違いをマーケター向けにわかりやすく解説」で解説しています。

※本記事は2026年7月公開のCoguru調査データに基づいています。

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LLMO/AIOの理解度64.3%は、何を測った数字なのか

Coguru調査で理解者とされた64.3%のうち、約8割は「概要は知っている」層です。ただし、この数字を市場の理解度として読むのは危ういと考えています。

4段階で尋ねた結果の内訳は次のとおりです。深い理解に届いているのは7人に1人ほど、という構図になります。

LLMO/AIOの理解度(Coguru調査・N=345)

比率

内容をよく理解している

13.9%

概要は知っている

50.4%

名前は聞いたことがある

27.5%

まったく知らない

8.1%

別の設問で関連用語の認知を尋ねると、いずれも概念の理解者64.3%には届きません。設問が違うため単純な引き算はできませんが、「理解している」という自己申告に、言葉を見たことがある程度の感触が混ざっている可能性は高いと考えています。

用語

指す範囲

聞いたことがある

LLMO(Large Language Model Optimization)

大規模言語モデルに引用・推薦されるための最適化

43.5%

AIO(AI Optimization/AI Overview対策)

AI全般、特にGoogle AI Overviewsでの露出最適化

42.6%

GEO(Generative Engine Optimization)

生成AI検索エンジン全般での露出最適化

38.3%

AEO(Answer Engine Optimization)

回答エンジンで答えとして採用されるための最適化

24.1%

AI SEO

AI時代のSEOを包括的に指す呼称

15.9%

5つの用語は重なる部分が大きく、実務上はほぼ同じ対象を指します。弊社は呼称としてLLMO/AIOを使っています。用語が割れていること自体も、理解が一つの体系にまとまらない一因です。

では、なぜ概要どまりの層がこれほど厚いのでしょうか。大きいのは、LLMO/AIOが「読めば分かる話」の形で流通していることです。生成AIに引用されるとよい、構造化データを整えるとよい、という結論は短く要約でき、読んだ側は理解した感触を得ます。しかし実務で必要になるのは、自社のどのページが、どの質問に対して、どのAIで引用されているのかという個別の判断です。要約から得た理解は、この判断の手前で止まります。

実際、7つの代表的な施策について取り組み状況を尋ねると、どの施策でも「施策自体を知らない」という回答が7.5〜10.1%ありました。理解者が6割を超える母集団でこの数字が並ぶという事実は、理解の解像度が施策の手前で止まっていることを示していると考えます。

生成AIでの自社表示を確認した85.8%と、継続観測している25.8%の差

自社がAIにどう表示されるかを確認したことがある事業者は85.8%に達する一方、モニタリングを施策として実施中なのは25.8%にとどまります。この差こそ、理解の浅さが最も具体的に表れた箇所です。

ChatGPTやGeminiに自社名を入れてみた経験を持つ人は、定期・不定期・一度だけを合わせて85.8%に達します。ほぼ全員が一度は見ているわけです。ところが、AI検索でのブランド表示状況のモニタリングを実施中と答えたのは25.8%にとどまり、検討中が48.4%で最多でした。

ここには落とし穴もあります。2つの設問は性質が違い、片方は個人の確認経験を、もう片方は組織の施策実施状況を尋ねています。そのまま引き算して「60ポイントの差」と断じることはできません。それでも、見た人の多さと見続けている人の少なさの開きは無視できないと考えています。

この差が生まれるのは、両者に必要なものがまったく違うからです。自社名を入れて結果を眺めるのは、好奇心だけで実行できます。一方、複数のAIで、言い回しを変えた複数のプロンプトを、継続して記録に残すとなると、何を指標に置くのかという設計が必要になります。

しかも生成AIの回答は、学習時にモデルへ取り込まれた知識と、質問のたびにWeb検索で取得する情報の二層でできています。そのため、実行のたびに引用元の顔ぶれが変わることがあります。一度の目視で「うちは出ていない」と判断してしまうと、本当は出ているケースを取りこぼします。弊社が観測の作法として複数プラットフォーム・複数プロンプト・継続観測を基本に置いているのは、この理由からです。

LLMO/AIO市場調査に「施策自体を知らない」という選択肢を入れた理由

この調査を設計する際、7施策の回答選択肢に「施策自体を知らない」をあえて加えました。想定は3%前後でしたが、実際は全施策で7.5〜10.1%でした。

施策の取り組み状況を尋ねる調査では、「実施中/検討中/未着手」の3択で足りることがほとんどです。未着手は、やるべきだと分かっていて手が回っていない状態を指します。ただ設計の段階で、LLMO/AIOに限っては「そもそも選択肢として認識されていない」層が無視できないのではないか、という議論がありました。それを確かめるために4つ目を足しています。

そのときの見立ては、多くて3%前後でした。回答者は直近1年でSEO関連予算を投下し、意思決定者・関与者が86.9%を占める層です。構造化データの実装のように、SEOの文脈で長く語られてきた施策を知らない人はほとんどいないだろう、と考えていました。

結果は7.5〜10.1%。想定の倍以上が出たこと以上に予想外だったのは、7つすべてが同じ水準で並んだことです。最も高いFAQ・ナレッジ系コンテンツの拡充が10.1%、最も低いAI検索でのブランド表示モニタリングでも7.5%で、施策の新旧による差がほとんどありません。

この結果は、個別の施策知識が欠けていることを示しているのではないと見ています。施策ごとに差が出ないということは、「LLMO/AIOとは何をする仕事なのか」という枠組み自体が共有されていないということです。枠組みがあれば、施策名を知らなくても「その手の話だ」と位置づけられます。

LLMO/AIO最大の障壁「人材がいない」40.6%は、理解の浅さの言い換えではないか

Coguru調査の最大の障壁は「社内にLLMO/AIOの知見を持つ人材がいない」40.6%でした。一方で「何から始めればよいか分からない」は11.0%にとどまります。私は、この2つの数字は本来もっと近いはずだと考えています。

障壁として挙がった項目を上から並べると、人材、効果測定の指標、予算と、いずれも自分の外側にある条件の話が続きます。自分自身の理解についての項目は「何から始めればよいか分からない」だけで、それが下位にあります。

本当に1割の企業しか始め方に困っていないのでしょうか。おそらく、そうではありません。理解が概要で止まっている状態では、自分が何を分かっていないのかを特定すること自体が難しくなります。分からないことの輪郭がつかめないとき、「知っている人がいない」という形で言語化しやすいと感じています。社内で共有しやすく、予算要求にもつなげやすい言い方だからです。人材不足40.6%という数字の中には、始め方が分からない状態がかなりの割合で含まれていると見ています。

この見立てが正しければ、打ち手も変わります。知見のある人材を採用しても、依頼する側の解像度が低いままでは、何を任せるのかを決められません。外部パートナーに相談する場合も同じです。先に必要なのは、自社の理解度を具体的に測ることだと考えています。

効果的な検証方法として、施策名を具体的に挙げて、実施中か、検討中か、知らないかを答えてもらいます。

その分布が、組織の本当の理解度を示します。

その結果をどう使うかは、分布によって変わります。「知らない」が目立つなら、施策の全体像を共有する社内レクチャーが先です。「検討中」に偏るなら、優先順位をつける判断材料、つまり自社のAI上での露出状況の可視化が足りていません。「実施中」が並ぶのに成果が見えないなら、効果測定の指標設計が課題です。Coguru調査で障壁の2位に「効果測定の指標やツールが不十分」35.9%が挙がっているのは、この段階に差しかかった企業が増えているからだと見ています。

進め方そのものは「AI検索対策、何から始める?診断・設計・実行の進め方」で解説しています。

よくある質問

Q. LLMO/AIOはどのくらい認知されていますか?

A. Coguru調査(2026年6月実施、事業者345名対象)では、LLMO/AIOを理解している事業者は64.3%です。内訳は「内容をよく理解している」13.9%、「概要は知っている」50.4%で、「名前は聞いたことがある」27.5%、「まったく知らない」8.1%が続きます。

Q. LLMO・AIO・GEOのうち、最も認知されている用語はどれですか?

A. Coguru調査では、LLMOが43.5%で最多です。次いでAIO42.6%、GEO38.3%、AEO24.1%、AI SEO15.9%の順で、「いずれも聞いたことがない」は12.2%でした。

Q. 企業は生成AI上での自社ブランドの表示状況を確認していますか?

A. Coguru調査では、確認したことがある事業者は85.8%です。ただしAI検索でのブランド表示状況のモニタリングを施策として実施中なのは25.8%にとどまり、検討中が48.4%で最多でした。

Q. AI検索最適化(LLMO/AIO)を進めるうえで最大の障壁は何ですか?

A. Coguru調査では「社内にLLMO/AIOの知見を持つ人材がいない」が40.6%で最多です。次いで「効果測定の指標やツールが不十分」35.9%、「予算の確保が難しい」33.6%が続きます。

Q. 自社のLLMO/AIO理解度はどう測ればよいですか?

A. 自己申告ではなく、施策名への反応で測る方法が有効です。構造化データの実装、AI検索でのブランド表示モニタリング、AIに引用されやすいコンテンツの制作、FAQ・ナレッジの拡充など具体的な施策名を挙げ、実施中・検討中・未着手・知らないのどれかを答えてもらいます。Coguru調査では、理解者が64.3%いる母集団でも、各施策で7.5〜10.1%が「施策自体を知らない」と回答しました。

まとめ

この調査から見えてきたのは、LLMO/AIOという言葉が広まる速さに、実務の理解が追いついていないという状態です。理解しているという回答は多数派になりましたが、その多くは概要をつかんだ段階にとどまり、どの施策がどの露出につながるのかという判断の手前で止まっています。自社がAIにどう映るかを一度は確かめた企業がほとんどである一方、それを継続的な観測として組織に組み込めている企業は限られます。社内に知見を持つ人材がいないという悩みも、人員の問題というより、何を分かっていないのかを特定できていない状態の表れだと見ています。だとすると最初の一歩は、自社の現在地を具体的に把握することからスタートすべきです。次回以降の記事では、業種別・企業規模別の課題構造を解説していきます。

出典・参考

#LLMO #AIO #GEO #AI検索 #SEO #市場調査 #マーケティング #Web担当者 #認知度 #レポート

この記事を書いた人

前田立樹

株式会社Coguru 取締役/ASO・SEO・LLMO/AIOコンサルタント

デジタルマーケティング領域で約10年。SEO、ASOを経て、現在はLLMO/AIO支援を担当。アパレル、不動産、家電小売など複数業種で、ChatGPTやAI Overviewsなど生成AI検索での露出状況の可視化から、構造化データの実装設計、AI引用を前提としたコンテンツ改善、効果測定の指標づくりまでを一貫して支援している。

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